AIを記事制作に使うことへの抵抗感は、薬剤師の間でも分かれます。

「AIが書いた記事は信頼できない」という声もあれば、「うまく使えば時間が大幅に短縮できる」という声もあります。私自身は、AIを補助ツールとして使いながら、医療情報の正確性は自分で担保するというスタンスで活用しています。

この記事では、薬剤師ライターが実際にAIをどう使っているかをまとめます。

前提:AIは「情報の正確性を保証しない」

なぜこれが重要か

AIツールは自然な文章を生成しますが、医療情報の正確性は保証されていません。

特に、最新のガイドライン・承認薬の情報・添付文書の内容などは、AIが誤った情報を生成する可能性があります。「もっともらしく書いてある」からといって正確とは限りません。

医療ライターとしてAIを使う場合、「AIが出した情報は一次情報で必ず確認する」というルールを守ることが前提です。

薬剤師の知識とリサーチ力があることで、AIの出力をチェックできる立場にあります。これが、薬剤師ライターがAIを安全に使える理由でもあります。

実際にAIを使っている場面

記事の骨子・見出し案の作成

AIが最も役立つのは、構成のたたき台を作る段階です。

「〇〇というテーマで、医療系ブログの記事構成を考えてほしい」と指示すると、見出し案を複数出してくれます。全部使う必要はありませんが、「この切り口は入れていなかった」という気づきになります。

記事の骨子を考える時間が短縮できるため、実際の執筆・リサーチに時間を回せます。

推敲・校正の補助

校正・推敲のやり方で触れましたが、AIは文章の推敲に使えます。

書いた文章をAIに貼り付けて「読みにくい表現はないか確認してほしい」「わかりにくい部分を指摘してほしい」と依頼します。自分では見慣れてしまって気づかない表現の問題を拾ってくれることがあります。

声に出して読むより効率的で、深夜や早朝の作業でも使えます。

難しい医学概念のわかりやすい言い換え案

一般読者向けの記事で「この医学用語をわかりやすく説明したい」という場面でAIを使います。

「〇〇(医学的な機序の説明)を、医療の知識がない一般読者にわかるように説明してほしい」と指示します。複数の表現案を出してくれるので、そこから薬機法的に問題ない表現を選ぶ流れです。

英語文献の概要把握

PubMedなどで見つけた英語の論文を素早く把握したいときにも使います。

論文の要旨(Abstract)をAIに貼り付けて「この論文が何を調べて何がわかったか、簡単に説明してほしい」と指示します。詳細は自分で読みますが、スクリーニングの時間が短縮できます。

使い方を間違えると起きる問題

AI出力をそのまま使わない

AIが書いた文章をそのまま記事に貼り付けることはしません。

理由は複数あります。

  1. 正確性の問題:医療情報が間違っている可能性がある
  2. 薬機法の問題:AIは薬機法を考慮した表現を出してくれるとは限らない
  3. オリジナリティの問題:自分の経験・視点が入らない記事はクライアントへの付加価値が低い

AIの出力は「素材」として使い、最終的な記事は自分で書く・書き直すというスタンスが適切です。

薬機法チェックはAI任せにしない

「この文章、薬機法的に問題ないか確認して」というAIへの依頼は補助的に使えますが、最終判断は自分で行います。

AIは問題のある表現を見落としたり、逆に問題のない表現を指摘したりすることがあります。薬機法の知識を持つ薬剤師ライターが自分で判断することが不可欠です。

AIが「海外の適応」を書いてくる問題

実際にAIで記事を生成していてよくあるのが、海外では承認されているが日本では未承認の使い方を、さも使えるかのように書いてくるケースです。

「日本の添付文書の範囲で書いて」と指示しても、確認は自分で行う必要があります。PMDAや添付文書と照合して国内適応の範囲かどうかを判断する作業は、薬剤師でないと気づけません。

AIの出力を信頼しすぎると、一見正確に見える内容が薬機法違反になる可能性があります。このチェックだけは、人の目が必要だと感じています。

AIツールの選択について

現在よく使われるのはChatGPT・Claude・Geminiなどです。どれを使うかより、「何に使うか」「どう使うか」のほうが重要です。

ツールによって得意不得意があります。複数使い比べて、自分の作業に合ったものを選ぶのが実用的なアプローチです。

まとめ:AIは補助、判断は薬剤師自身が行う

AIを使った記事制作の効率化ポイントをまとめます。

  1. AIの出力は一次情報で必ず確認する(正確性の保証なし)
  2. 骨子・見出し案の作成に使うと構成時間が短縮できる
  3. 推敲・校正の補助として使える
  4. わかりやすい言い換えの案を出すのが得意
  5. AI出力をそのまま使わない・薬機法チェックは自分で行う

薬剤師としての知識がある分、AIの出力を批判的に見る能力があります。この視点があることで、AIを安全に効率化に活かせます。