ライターとして経験を積むと、ディレクターとして記事をチェックする仕事が入ってくることがあります。

私自身、ライター活動を始めて1年ほどで、ディレクターとして他のライターの記事を確認する仕事を受けるようになりました。「書く」から「見る」に視点が変わることで、気づくことが増えました。

この記事では、私がディレクターとして記事チェックをするときに実際に見ているポイントをまとめます。

ディレクターの役割を整理する

ライターとディレクターの違い

ライターは記事を書く人です。ディレクターは、ライターの書いた記事を確認し、クライアントに納品できる品質に整える人です。

ディレクターの仕事は「修正指示」だけではありません。

  • 記事の方向性がブリーフィングと合っているか確認する
  • 薬機法・医療広告ガイドライン上の問題がないかチェックする
  • 読者に伝わる表現になっているか判断する
  • ライターが書きにくいところをフォローする

クライアントとライターの間に立ち、両方に責任を持つ仕事です。

記事チェックで最初に見ること

構成が指示と合っているか

まず確認するのは「依頼どおりに書かれているか」です。

  • キーワードが適切に入っているか
  • 指定された文字数に収まっているか
  • 見出し構成がラフ(骨子)と合っているか

ライターが独自に内容を膨らませることがあります。それ自体は悪くないですが、クライアントの意図と外れている場合は修正が必要です。チェックの最初に方向性を確認します。

ターゲット読者に合った表現か

「誰に向けた記事か」を確認します。

一般読者向けの記事に医療専門用語が多用されていたり、医療従事者向けの記事が平易すぎたりする場合は、ライターにフィードバックします。

薬剤師ライターが書く記事は、知識が豊富なぶん専門的になりすぎることがあります。「この単語、一般の人に伝わるか」という視点でチェックします。

薬機法・医療広告のチェック

ディレクターが最も責任を持つ部分

薬剤師ライターがディレクターをやる最大の強みは、薬機法チェックができることです。

クライアントがチェックできないことが多い部分だからこそ、ディレクターが確実に見る必要があります。

チェックする観点:

  • 医薬品・サプリメントの効能を断定していないか
  • 疾患名+「治る・改善する・予防する」の組み合わせがないか
  • 体験談で効能を間接的に示唆していないか
  • 「No.1」「唯一」「副作用なし」などの表現がないか

ライターが薬機法の知識を持っていない場合、こうした表現が混入しやすいです。1記事ずつ確認します。

医療広告ガイドラインも確認する

医療機関のコンテンツは、薬機法だけでなく医療広告ガイドラインにも注意が必要です。

美容皮膚科の記事で触れたように、比較優位・体験談・成功例のみの掲載は規制対象です。医療機関が運営するサイトの記事をチェックするときは、両方の観点で確認します。

エビデンス・情報の確認

数値・データの根拠

記事中に出てくる数値・データは、根拠を確認します。

「〇〇で約△△万人が悩んでいます」という表現は出典が必要です。出典が記載されていない場合はライターに確認します。出典があっても、引用元が古い・信頼性が低い場合は修正を依頼します。

医療記事のリサーチ方法で書いたように、信頼できる情報源は国の機関・学会のガイドラインが基本です。個人サイト・まとめサイトからの引用は使えません。

医薬品名・成分名の正確さ

薬の名前・成分名が正確に書かれているか確認します。

薬剤師でないライターが書いた記事では、薬の名称が間違っていることがあります。「イブプロフェン」を「イブフロフェン」と書く、成分と商品名を混同するなどのミスをチェックします。

フィードバックの伝え方

「なぜ問題か」を添える

修正依頼を出すとき、「ここを直してください」だけでなく「なぜ問題か」を伝えます。

「この表現は薬機法上、医薬品の効能を断定しているとみなされる可能性があります。『〇〇をサポートします』という形に変えてください」という伝え方が適切です。

理由を伝えることで、ライターが次回から自分でチェックできるようになります。ライターの成長につながるフィードバックが、ディレクターの仕事の質を上げます。

修正箇所を具体的に示す

「全体的に薬機法が気になります」という漠然とした指示は、ライターが直しにくいです。

具体的に「◯段落目の『免疫力を高めます』という表現を『健康維持をサポートします』に変えてください」という形で伝えます。

直しにくい修正指示は、ライターの時間を無駄にし、クライアントへの納品も遅れます。

テキストは意図より強く伝わる

フィードバックで最も気を使うのが、テキストでのやり取りです。

対面や電話なら声のトーンや表情で伝わるニュアンスが、文字だけでは消えます。「この表現は問題です」という一文は、書いた側には普通の指摘でも、受け取る側には強い批判に感じられることがあります。

意識して使うのがクッション言葉です。

  • 「〜かもしれません」「〜の可能性があります」
  • 「ご確認いただけますか」「いかがでしょうか」
  • 「ありがとうございます。1点確認させてください」

指摘の前にひと言添えるだけで、受け取る印象は変わります。

絵文字・スタンプの使い方

同じチームで継続的に仕事をしている場合、絵文字やスタンプを使って文章の雰囲気を和らげることがあります。「ここを修正お願いします🙏」のような使い方です。

関係が浅い段階や、相手のスタイルがわからない場合は、まず使わないほうが無難です。やり取りを重ねながら、相手に合わせて判断します。

ライターとの関係づくり

フィードバックはポジティブに

修正ばかり指摘していると、ライターのモチベーションが下がります。

良かった点・改善された点も伝えます。「前回からこの表現が上手くなりましたね」という一言が、ライターとの関係をよくします。

ディレクターは「クライアントの代理」ではなく、ライターと一緒に良い記事を作るパートナーです。

まとめ:ディレクターは「品質の最終確認者」

ディレクターとして記事チェックをするときに見るポイントをまとめます。

  1. 構成・方向性がクライアントの依頼と合っているか
  2. ターゲット読者に合った表現になっているか
  3. 薬機法・医療広告ガイドラインの問題表現がないか
  4. 数値・データの根拠が確認できるか
  5. 修正指示は「なぜ」を添えて具体的に伝える

薬剤師ライターがディレクターをやると、薬機法・医療情報の精度という点で強みを発揮できます。クライアントから信頼されるディレクターは、単価も上がりやすいポジションです。