美容皮膚科の記事を書くとき、他の医療記事と異なる難しさがあります。

私自身、美容皮膚科クリニックのコンテンツを書いた経験があります。薬機法医療広告ガイドラインの両方が絡み、一般の医療記事より表現の制約が多いと感じました。

この記事では、美容皮膚科コンテンツ特有の薬機法的な注意点を、実体験をもとに解説します。

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美容皮膚科コンテンツが難しい理由

美容皮膚科の記事には、複数の規制が同時に絡みます。

  • 薬機法:医薬品・医療機器の効能効果の誇大広告を禁止
  • 医療広告ガイドライン:医療機関の広告表現を規制
  • 景品表示法:根拠のない優良誤認表示を禁止

さらに、読者が「効果を期待して読んでいる」ため、効果を強調したくなる誘惑があります。クライアントからも「もっと魅力的に書いてほしい」という要望が来ることがあります。薬機法の知識がないと、こうした要望に引きずられてしまいます。

医療脱毛と脱毛サロンの比較表現

美容皮膚科の脱毛記事で最も注意が必要なのが、脱毛サロンとの比較です。

何が問題になるか

医療脱毛(レーザー脱毛)は医療行為です。脱毛サロン(光脱毛・フラッシュ脱毛)は医療行為ではありません。この違いを説明する記事は多いですが、書き方を間違えると医療広告ガイドライン違反になります。

問題になりやすい表現:

  • 「医療脱毛は脱毛サロンより効果が高い」
  • 「サロンでは永久脱毛できない。医療脱毛なら永久脱毛できる」
  • 「〇〇クリニックは他院より痛みが少ない」

他の施術・施設との比較優位を示す表現は、医療広告ガイドラインで原則禁止されています。

なお、「永久脱毛」という言葉自体も注意が必要です。医療広告ガイドラインでは、治癒率・効果の断定的な表現は問題になります。「永久脱毛」は「永久に毛が生えなくなる」という断定的なニュアンスを含むため、医療機関の広告として使用する際にはリスクがあります。「毛の再生を抑制する施術」など、断定を避けた表現にとどめるのが安全です。

言い換えの例:

  • 「医療脱毛はレーザーを使用し、毛根部分に照射します」
  • 「脱毛の仕組みや使用する機器は、医療機関と美容サロンで異なります」
  • 「医療脱毛は医師または看護師が施術を行います」

仕組みの違いを客観的に説明する表現にとどめ、優劣の断定は避けます。

レーザーの効果を一般向けに書く難しさ

美容皮膚科の記事でもう一つ難しいのが、レーザー・光治療の仕組みの説明です。

医療従事者なら当然わかる内容でも、一般読者にはなじみがありません。かといって、わかりやすくしようとすると誇大表現になるリスクがあります。

仕組みの説明で気をつける点

レーザー脱毛を例にとると、「メラニン色素に吸収された光エネルギーが熱に変換され、毛根に作用する」という仕組みになります。

これをそのまま書いても読者には伝わりにくい。しかし「毛を根こそぎ破壊する」「完全に毛がなくなる」という表現は誇大になります。

問題になりやすい表現:

  • 「レーザーで毛根を完全に破壊します」
  • 「照射後は永久に毛が生えません」
  • 「痛みなく確実に脱毛できます」

書き方の例:

  • 「レーザーの光がメラニン(黒い色素)に吸収され、毛根に作用します」
  • 「一定回数の照射で、毛の再生が抑制されることが期待できます」
  • 「効果の出方には個人差があります」

「作用する」「期待できる」「個人差があります」という表現が基本です。断定を避け、メカニズムを客観的に説明します。

医療機器と一般機器の区別を明確にする

レーザー機器は、医療用と業務用(サロン用)で出力や波長が異なります。

「医療用レーザーを使用しているため」という表現は事実の説明として問題ありません。しかし「医療用だから効果が高い」という因果関係の断定は、比較優位の表現として問題になります。

美白・エイジングケアの表現

美容皮膚科では、トラネキサム酸・ビタミンC(シナール)・ハイドロキノンなどを扱う記事も多いです。

これらは医薬品・医薬部外品・化粧品の区分によって、書ける表現が変わります。

医薬品として処方される場合

クリニックで処方されるトラネキサム酸・シナールは医薬品です。承認された効能効果の範囲内で説明できます。

添付文書に記載された効能効果の範囲内で説明します。ただし「確実に消える」「〇週間で効果が出る」という断定は避けます。また、保険適用外の処方である場合は、その旨も正確に記載する必要があります。

化粧品・サプリメントの場合

同じ成分でも、化粧品やサプリメントとして販売されている場合は医薬品ではありません。漢方の記事と同様に、「しみに効く」「美白になる」という表現は使えません。

「美白」という言葉そのものは、医薬部外品の承認を受けた製品であれば使えます。ただし、化粧品やサプリメントの文脈で「美白効果がある」と断定すると、医薬品的な効能の標榜として問題になります。「美白ケア成分」「美白を意識したケア」など、効果の断言を避ける表現が安全です。

問題になりやすい表現:

  • 「トラネキサム酸でしみが消えます」
  • 「飲み続ければ確実に白くなる」
  • 「ハイドロキノンは最強の美白成分」

言い換えの例:

  • 「トラネキサム酸はしみの原因に働きかける成分として知られています」
  • 「医師の指示のもとで継続することが大切です」
  • 「ハイドロキノンは美白ケアで使われる成分のひとつです」

「医師監修」があっても薬機法は適用される

美容皮膚科のコンテンツには「医師監修」がついていることがあります。しかし、医師が監修していても薬機法・医療広告ガイドラインの規制は適用されます。

「監修済みだから安心」と考えてしまうと、違反表現を見落とす可能性があります。薬機法チェックはライター自身が行う習慣を持つことが重要です。

また、医療広告ガイドラインでは、監修者の氏名・資格を明示することが求められます。「医師監修」とだけ書いて監修者が不明な状態は、ガイドラインの要件を満たさない可能性があります。監修者の名前・専門領域・資格を明記することが、適切な医師監修表示の基本です。

実際のシナール(医薬品)の表現を確認してみよう

シナール配合錠は、ビタミンCを主成分とする第3類医薬品です。医薬品として承認されているため、「しみ・そばかすを防ぐ」「日焼けによる色素沈着を緩和する」といった効能を表示することができます。美容皮膚科でも処方されることがあり、化粧品・サプリとの表現の違いを把握する参考になります。ただし、商品ページの表現がすべて適法とは限りません。

▲ シナール(第3類医薬品)の実例(PR)

まとめ:美容皮膚科コンテンツは「比較」と「断定」に注意

美容皮膚科の記事で気をつけるポイントをまとめます。

  1. 医療脱毛と脱毛サロンの比較優位の表現は避ける
  2. レーザーの効果は「作用する」「期待できる」「個人差がある」で説明する
  3. 美白成分は医薬品・化粧品・サプリの区分で書ける表現が変わる
  4. 「医師監修あり」でも薬機法チェックは自分で行う
  5. クライアントからの「もっと魅力的に」という要望に引きずられない

美容皮膚科は単価が高い案件が多い一方、表現の制約も多いジャンルです。薬機法の知識がある薬剤師ライターだからこそ、クライアントのリスクを守る記事が書けます。

美容皮膚科で扱う医薬品の具体例として、まつ毛美容液(グラッシュビスタ)の表現の注意点をまつ毛美容液・グラッシュビスタの記事で気をつける薬機法で解説しています。あわせて参考にしてください。


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