健康食品・サプリメントの記事は、医療ライターへの依頼数が多いジャンルです。

同時に、薬機法違反が最も起きやすいジャンルでもあります。クライアントから渡された原稿に問題のある表現が含まれていることも少なくありません。

なぜ健康食品・サプリは薬機法違反が多いのか

健康食品・サプリメントは医薬品ではありません。しかし「体に良い」という印象を与えることで売れる商品のため、効果を強調したくなる構造があります。

医薬品と健康食品の境界線は「効能効果を標榜しているかどうか」です。健康食品が「〇〇に効く」「〇〇を治す」という表現をすると、医薬品的な効能の標榜として薬機法違反になります。

よくある違反表現パターン

疾患名を使った表現

問題になりやすい表現:

  • 「糖尿病が気になる方に」
  • 「高血圧を改善するサプリ」
  • 「がん予防に効果的な成分」
  • 「認知症の予防に」

疾患名を出して「効く・改善・予防」と結びつける表現は、健康食品・サプリには使えません。

言い換えの例:

  • 「健康的な血糖値を維持したい方に」
  • 「毎日の健康管理が気になる方へ」
  • 「健康維持をサポートする成分を配合」

「免疫力アップ」という表現

「免疫力を上げる」「免疫力を強化する」という表現は、薬機法上問題になります。

「免疫力」自体が医学的に定義された指標ではなく、「アップさせる」という効能表現も健康食品には使えません。

なお、「免疫機能をサポート」「健康習慣をサポート」のような言い回しも、文脈によっては効能示唆とみなされることがあります。「サポート」という言葉があれば安全、というわけではなく、前後の文脈で何をサポートするのかが重要です。

言い換えの例:

  • 「毎日の健康習慣に」
  • 「体の内側からケアしたい方に」

「デトックス」「毒素を排出」

「デトックス」「老廃物を排出」「毒素を溜めない」という表現も問題になります。

「体内の有害物質・毒素を排出する」というイメージを強く示す表現は、医薬品的な効能の標榜として問題になります。消費者庁・厚生労働省の指摘対象になりやすいパターンです。

言い換えの例:

  • 「スッキリとした毎日をサポート」
  • 「毎朝の習慣に取り入れたい方へ」

体験談・口コミの使い方

「飲んだら3kg痩せた」「腰痛が消えた」という体験談・口コミも、間接的に効能を示唆するとして問題になることがあります。

特定の疾患・症状への効果を示す内容の体験談は掲載できません。記事内で体験談を引用する場合は、効能を示す内容が含まれていないかを確認します。

「No.1」「最強」「唯一」

「〇〇成分含有量No.1」「最強の美容サプリ」「唯一の〇〇」という表現は、景品表示法(優良誤認)の問題になります。

No.1表現を使う場合は、調査機関・調査対象・調査期間を明示する必要があります。根拠のないNo.1は使えません。

機能性表示食品・特定保健用食品は別ルール

機能性表示食品(届出済み)と特定保健用食品(トクホ)は、一定の条件のもとで機能性の表示が認められています。

  • 機能性表示食品:届け出た機能性の文言と完全一致した表現のみ使用可能
  • 特定保健用食品:許可を受けた保健の用途の文言と完全一致した表現のみ使用可能

これらの区分の製品を扱う記事では、許可・届出された文言から外れた表現はNGです。「同じ意味に聞こえる言い換え」でも、届出・許可の文言と一致しなければ問題になります。商品の届出・許可内容を事前に確認してから書くことが必要です。漢方の記事と同様に、医薬品か食品かの区分を常に意識することが重要です。

クライアントから「もっと効果を強調して」と言われたら

健康食品・サプリの記事では、クライアントから「もっと効果を前面に出してほしい」という要望が来ることがあります。

そのときは、薬機法上の制約を丁寧に説明します。「この表現は薬機法上問題になる可能性があります。代わりにこういう表現はいかがでしょうか」という形で代替案を提示します。

代替案の軸は「効果・結果の断言」から「成分の説明・摂取の習慣化・生活習慣のサポート」へのシフトです。クライアントが訴求したい内容を、薬機法の範囲内で表現する方法を一緒に考えることが、薬剤師ライターとしての付加価値になります。

まとめ:健康食品は「効能を示唆しない」が基本

健康食品・サプリの記事で気をつけるポイントをまとめます。

  1. 疾患名+効く・改善・予防の組み合わせは使わない
  2. 「免疫力アップ」「デトックス」は薬機法上問題になる
  3. 体験談でも効能を示唆する内容は使えない
  4. No.1表現は根拠の明示が必要
  5. 機能性表示食品・トクホは届出・許可範囲内の表現のみ

健康食品・サプリのコンテンツを安全に書けるライターは少ないです。薬剤師としての知識を活かして、クライアントのリスクを守る記事を作りましょう。

成分別の注意表現については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

健康食品・サプリ記事の薬機法チェックシート(NG表現とOK言い換え一覧)もあわせて活用してください。