「50代での転職は難しい」と検索して、このページにたどり着いた方もいると思います。

私も今年の春、転職エージェント2社に相談しました。返ってきたのは「今の年収をキープするのは難しい」という答えです。

ただ、そのうち1社からは、理由まで説明してもらえました。そこで言われたのは、年齢を理由に紹介できない、という話ではありませんでした。

伝えた条件があり、その条件に合う求人があるかどうかを見てもらった。その結果としての「難しい」です。実際、条件をひとつ動かせば紹介できる求人はある、とも言われました。

この記事では、そのときのやりとりの中身をお伝えします。私は、結果として転職しませんでした。条件が合わなかったためです。

転職エージェントに伝えた4つの条件

先に、何を希望として伝えたかを書きます。ここが分からないと「難しい」の意味も伝わらないからです。

相談したのは2社です。登録先を増やすと連絡のやりとりが追いつかなくなるので、多くても3社までにしています。

→ 詳しくは薬剤師の転職エージェント:担当者選びが大切な理由で書いています。

伝えた条件は、次の4つです。

  • 調剤薬局で働きたい(これまで積んできたスキルを伸ばしたい)
  • 通える範囲のエリアであること(通勤に時間をかけたくない)
  • 今と同じ年収を保ちたい(生活していくうえで大事)
  • 管理薬剤師はやらない(経験はあるが、今回は希望しない)

この4つを持って、2社それぞれの面談に臨みました。

2社から返ってきた答えの違い

結論から言うと、2社とも結果は同じでした。今の条件では難しい、という内容です。

違ったのは、その結果をどう伝えられたかでした。理由まで説明してくれたのは、1社だけです。

資料を用意して説明してくれた担当者

1社の担当者は、面談の場に資料を持ってきました。

示されたのは、薬剤師の需給がこれからどう変わっていくかという業界全体の見通しでした。内容は有効求人倍率です。

厚生労働省が公表している資料をもとに、見やすく作り直したものでした。もとの資料は情報量が多く、そのままでは読み取りにくいものです。それを、必要なところだけ抜き出した形にしてありました。

この資料が「あなたの条件では難しい」の根拠だったわけではありません。それでも、先にこの説明があったからこそ、そのあとの「条件に合う求人がない」という話に納得できました。

結論だけを伝えられたとき、こちらは何も言えない

もう1社には、資料も理由の説明もありませんでした。

紹介できる案件がないとだけ伝えられ、なぜそうなるのかは聞けていません。

こう言われると、こちらは「そうですか」と答えるしかありません。納得したわけではなく、話が終わっただけの状態です。

同じ結論でも、説明があるかどうかで、受け取り方はここまで違います。理由を聞けたからこそ、「難しい」の中身が分かりました。

「難しい」の中身は、年齢ではなく条件

資料を見せてくれた担当者からは、こう言われました。今の条件のままでは、年収を保ったまま動くのは難しい。ただし、管理薬剤師であれば今の年収をキープできる、と。

つまり、紹介できる求人がまったくないわけではありませんでした。条件のひとつを動かせば、道はあるという話です。

伝えた条件 返ってきた答え
調剤/エリア/今と同じ年収/管理薬剤師はやらない この条件をすべてそろえるのは難しい
上の条件のうち、ひとつを動かした場合 今の年収をキープできる求人はある

断られたのは年齢ではなかった

説明してくれた担当者から言われたのは、「年齢が理由で紹介できない」ではありませんでした。この条件を全部そろえるのが難しい、という話です。

転職の記事を読むと、年齢を理由にした説明をよく見かけます。人件費が高くなる、求人の数が限られる、といった内容です。それ自体は間違っていないのだと思います。

転職市場で年齢が見られていない、とは思いません。ただ、少なくともこのときは、希望条件と求人の折り合いがつかなかったという説明でした。

もう1社からは理由を聞いていないので、そちらがどう判断したのかは分かりません。

やれるけれど、やらないという選択

管理薬剤師の求人であれば年収を保てる、と言われても、その条件は希望から外していたものです。経験はありますが、今回はやらないという選択でした。

条件というのは、順位のつけ方だと思います。何を優先し、何を後ろに回すか。私の場合、そこは動かさない側に置いていたというだけでした。

その条件を保ったまま探すと、紹介できる求人には出会えませんでした。

資料が示していたのは、これからの需給だった

見せてもらった資料の背景には、厚生労働省が公表している需給の推計があります。

そこには、こう書かれています。

需要は、院外処方箋の発行の伸びや高齢化の進展により、おおむね今後10年間は増加するが、それ以降は人口減少の影響を受ける。

さらに、将来的には供給数が需要を上回ることが予想される、とも記載されています。

出典:薬剤師の需給推計(案)(厚生労働省・薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会)

私はこの資料の全体を読み込んだわけではありません。面談で示されたのは、そのうちの一部です。

担当者から伝えられたのは、本気で動くつもりなら早いほうがいい、ということでした。求人そのものが無いわけではない。ただし私の条件に合うものは少ない、という説明です。

資料に「早いほうがいい」と書いてあるわけではありません。資料は業界全体の見通しで、そこから先は担当者の判断です。

それでも、数字を見せてもらえたのは大きかったと思います。自分の条件だけが特別に厳しいのか、それとも全体がそういう状況なのか。その区別がついたことが、いちばん助かった部分でした。

「年収を落としてでも転職する意味はある」という言葉

条件の話には、もうひとつ続きがあります。

面談の途中で、担当者からこう言われました。

人間関係で悩んでいるのなら、年収を落としてでも転職する意味はある、と。

働く場所を変える理由は、収入だけではありません。何を優先するかは人によって違いますし、同じ人でも時期によって変わります。

職場のつらさが理由で動くかどうかを考えている方には、また別の判断軸があると思います。

→ 詳しくは薬剤師は転職と副業どっちがいい?両方経験した私の選び方で書いています。

得られたのは求人ではなく、自分の位置

自分の条件が、今どう見えるのか。 それが分かっただけで、迷いは減りました。

面談を受けたからといって、転職しなければならないわけではありません。私は結果として動きませんでした。

→ 転職ではなく、今の職場で50代がどう見られているかは50代の薬剤師は使えない?現場の実感と転職の条件に書いています。

以前、40代のときに転職したことがあります。そのときに重視していたのは給料ではなく労働時間でした。

週40時間の正社員募集だった職場に、30時間の準社員という形で入っています。求人票のままの条件ではなく、担当者に交渉してもらった結果です。

だからこそ、動くかどうかを決める前に、今の相場を確かめておく意味はあります。私の場合は、面談を受けて初めて、自分の条件がどう見えるのかが分かりました。

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まとめ:条件が合わなかっただけ

今回のことを、あらためて整理します。

  • 転職エージェント2社に相談し、どちらからも「今の条件では難しい」と言われた
  • 理由を説明してもらえたのは1社だけで、そこで言われたのは希望条件と求人の折り合いの話だった
  • 条件をひとつ動かせば、紹介できる求人はあると言われた
  • 私はその条件を動かさないほうを選び、結果として転職しなかった

「難しい」という言葉だけを受け取ると、道が閉じたように感じます。けれど中身を聞いてみると、閉じていたのは自分が出した条件の組み合わせのほうでした。

もし今、同じように迷っている方がいたら、何を優先し、何なら動かせるのかを先に決めておくと、相談の場で聞くことが変わります。私の場合は、そこがはっきりしていたぶん、返ってくる答えもはっきりしていました。

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