まつ毛美容液に関する記事の依頼は、美容・化粧品ジャンルでよく見かけます。
しかし、このジャンルには薬機法の落とし穴が多いです。「まつ毛が増える」「まつ毛が生える」という表現を当たり前のように使ってしまうライターが後を絶たないのも事実です。
さらに、「グラッシュビスタ」という名前が出てきたとき、それが処方箋医薬品であることを知らずに書いてしまうと、より深刻な問題になります。
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グラッシュビスタとは
グラッシュビスタ(一般名:ビマトプロスト)は、アラガン社が開発した処方箋医薬品です。
承認効能効果は「睫毛貧毛症」。まつ毛が少ない・短い・細いといった症状に対して、医師が処方します。薬局・ドラッグストアでは購入できず、医療機関の受診と処方箋が必要です。
もともとは緑内障の点眼薬(ルミガン)として使われていた成分で、副作用としてまつ毛が伸びることが確認されたことから、まつ毛治療薬として開発されました。
医師の管理下で使用される理由のひとつが副作用リスクです。眼周囲の色素沈着、虹彩色素増加、眼圧変動などが報告されており、自己判断での使用には適さない薬剤です。
一般のまつ毛美容液との法的な違い
ドラッグストアやコスメショップで販売されているまつ毛美容液の多くは化粧品です。
化粧品と処方箋医薬品では、薬機法上の扱いが根本的に異なります。
| グラッシュビスタ | 一般のまつ毛美容液 | |
|---|---|---|
| 分類 | 処方箋医薬品(医療用医薬品) | 化粧品 |
| 購入方法 | 医師の処方箋が必要 | 市販 |
| 効能効果の訴求 | 承認された効能を正確に記載 | 化粧品の56効能の範囲内のみ |
| 一般向け広告 | 認められていない | 可能(化粧品の範囲内) |
処方箋医薬品の広告は認められていない
処方箋医薬品の一般向け広告は、法規・通知・業界ルールの運用上、認められていません。
薬機法第68条は未承認医薬品の広告を禁止する条文ですが、処方箋医薬品については医療用医薬品プロモーションコード等の通知・自主規制も含めた運用として、一般消費者向けの広告は行わないことが原則とされています。
つまり、グラッシュビスタについて「まつ毛が増える薬」のように一般向けに宣伝することは、違反となる可能性が高い行為です。
ライターが注意すべき状況としては、以下のようなケースがあります。
- 「まつ毛を増やしたい人にはグラッシュビスタがおすすめ」という記事を書く
- 美容クリニックのLP(ランディングページ)でグラッシュビスタを前面に出す
- 「グラッシュビスタで劇的に変わった」という体験談風の記事を書く
体験談については、医療広告ガイドラインで原則掲載不可(限定解除要件あり)とされています。処方箋医薬品の効果訴求と組み合わさると、さらにリスクが高くなります。
クリニックのWebページは広告扱いが原則
クリニック系のWebサイトから「グラッシュビスタの効果について書いてほしい」という依頼が来ることがあります。
このとき注意が必要なのは、クリニックのWebページは原則として広告に該当し、医療広告ガイドラインの対象になるという点です。「診療案内だから広告ではない」とはなりません。
確認すべき点は以下です。
記事の公開対象が誰か
医療従事者向けの情報提供(医師・薬剤師向けのサイトなど)と、一般消費者が閲覧できるページでは扱いが異なります。一般消費者が読む可能性があるページであれば、処方箋医薬品の効能を前面に押し出す内容には注意が必要です。
SEOキーワードと表現は切り分ける
「グラッシュビスタ 効果」というキーワードで記事を書く依頼を受けることがあります。検索意図に応えるためにキーワードを使うこと自体は問題ありませんが、本文で効果を断定的に訴求する表現は避け、「医師に相談が必要な薬剤である」という文脈で書くことが安全です。
判断が難しい依頼の場合は、クライアント側の薬機法担当者・医師への確認を促すことが、ライターとして取れる現実的な対応です。
化粧品のまつ毛美容液に使えないNG表現
一般のまつ毛美容液(化粧品)の記事で、よく見かけるNG表現があります。
化粧品に認められている効能は、厚生労働省が定める56項目の範囲内に限定されています。まつ毛専用の製品であっても例外はなく、「まつ毛が生える」「まつ毛が増える」といった表現はこの56項目に含まれていません。
NG表現の例
- 「まつ毛が生える」
- 「まつ毛が増える」
- 「まつ毛を再生させる」
- 「薄くなったまつ毛を回復させる」
- 「まつ毛の成長を促進する」(医薬品的な効能と判断されやすい表現)
「育毛」「発毛」は完全にNGです。「成長促進」も医薬品的と判断されやすく、使用は避けるのが安全です。
OK表現の例
- 「まつ毛をケアする」
- 「まつ毛をコンディショニングする」
- 「まつ毛にうるおいを与える」
- 「まつ毛の乾燥を防ぐ」
- 「まつ毛を健やかに保つ」
- 「まつ毛にハリ・コシを与える」
見た目には似ていますが、「生やす・増やす」と「ケアする・うるおいを与える」では薬機法上の意味が全く異なります。
実際の化粧品まつ毛美容液の表現を確認してみよう
化粧品として販売されているまつ毛美容液の商品ページでは、どのような表現が使われているか確認してみましょう。薬機法の範囲内で訴求できる表現の感覚をつかむ参考になります。ただし、販売ページの表現が必ずしも適法とは限りません。
▲ 化粧品まつ毛美容液の実例(PR)
まとめ
まつ毛美容液・グラッシュビスタに関する記事を書く際のポイントをまとめます。
- グラッシュビスタは処方箋医薬品。一般向け広告は法規・通知・業界ルール上、認められていない
- 市販のまつ毛美容液は化粧品。効能は厚労省の56項目の範囲内のみ
- 「生える・増える・育毛・発毛」はNG。「ケア・うるおい・健やかに保つ」の範囲で書く
- クリニックのWebページは原則広告扱い。医療広告ガイドラインも同時に確認する
- 体験談は医療広告ガイドラインで原則不可。処方箋医薬品と組み合わせると特にリスクが高い
美容ジャンルは案件数が多い分、薬機法違反の記事も流通しやすい領域です。薬剤師ライターとして、この知識は差別化の武器になります。
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