健康食品や化粧品の記事を書くとき、多くの人は「薬機法」だけを気にします。

しかし実務では、薬機法と景品表示法(景表法)の両方に同時に抵触する表現が非常に多くあります。1つのキャッチコピーが、2つの法律の観点からそれぞれアウト、という「二重リスク」の状態です。

この記事では、両方を同時に犯しやすい典型例を整理し、なぜ2つの法律が絡むのかを解説します。薬機法の基本的なNG表現は薬機法NG表現TOP10も参考にしてください。

なぜ薬機法と景表法は同時に絡むのか

まず、2つの法律の役割の違いを押さえておきます。

法律 規制する対象 目的
薬機法 医薬品的な効能効果の標ぼう 不適切な医薬品的表現を防ぐ
景品表示法 実際よりも著しく優良・有利だと誤認させる表示 消費者の誤認による不利益を防ぐ

薬機法は「医薬品でないものを医薬品のように見せること」を、景表法は「実態より良く見せること」を規制します。景表法でいう「実態より良く見せる」表示の中心が優良誤認とは?景品表示法の基本で解説している優良誤認です。

健康食品や化粧品の誇大なキャッチコピーは、**「医薬品的な効果をうたい(薬機法違反)」かつ「その効果に根拠がない(景表法違反)」**という構造になりやすいため、両方に同時に引っかかるのです。

典型例①:「飲むだけで-5kg!医師も推奨」

ダイエットサプリのLPでよく見かける表現です。

薬機法の観点

  • 「-5kg」という痩身効果は、健康食品に認められていない医薬品的な効能効果
  • 「医師も推奨」は根拠のない権威付け。実際に推奨している医師がいなければ薬機法・景表法の両面で問題になり、医療機関がからむ場合は医療広告ガイドライン上の権威付けとしても問題になる

景表法の観点

  • 「-5kg」の根拠(試験データ等)がなければ、優良誤認表示
  • 「飲むだけで」は、実際には食事制限が前提なのに簡単に痩せられると誤認させる

ダイエット表現の詳しい注意点はダイエットサプリの薬機法チェックも参考にしてください。

典型例②:「業界No.1の効果で、シミが消える」

美容系コスメ・サプリで見られる表現です。

薬機法の観点

  • 「シミが消える」は化粧品に認められた効能効果の範囲を超える(化粧品は「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」までしか言えない)

景表法の観点

  • 「業界No.1」は、調査の根拠・比較対象が示せなければ優良誤認表示
  • そもそも「何のNo.1なのか」(売上・満足度・配合量など)が不明確だと、それだけで問題になる。No.1表示は、比較対象・調査機関・調査時期・調査条件を明示することが必要

1つの文の中で、前半(No.1)が景表法、後半(消える)が薬機法に引っかかる典型パターンです。

典型例③:「利用者の98%が効果を実感!」

体験談・アンケートを使った訴求です。

薬機法の観点

  • 「効果を実感」が医薬品的な効能効果を示唆する場合、薬機法違反
  • 「利用者の声」「体験談」という形であっても、効能効果を断定する内容なら薬機法違反になる。体験談ベースだから安全、という認識は誤り

景表法の観点

  • 「98%」というデータの調査方法・母数・条件が不明確だと、優良誤認表示
  • アンケートの設問が誘導的だった場合(「効果を感じましたか?」など、肯定を誘導する設計)は、数字自体の根拠が問われる

数字を使った訴求は具体的で説得力がある反面、根拠を示せないと景表法リスクが一気に高まります。

典型例④:「通常価格10,000円が今だけ2,980円」(景表法単独の例)

これは薬機法ではなく景表法だけに関わる例ですが、医療・健康系商材でも頻出するため、二重リスクの整理とあわせて押さえておきます。

景表法の観点(有利誤認)

  • 「通常価格10,000円」で実際に販売した実態がない場合、二重価格表示として有利誤認表示になる
  • 「今だけ」と書きながら常時セールをしている場合も問題

薬機法は「効果・効能」の規制ですが、景表法は価格や取引条件の誤認も規制対象です。この点が薬機法にはない景表法独自の領域です。

医療ライターが「二重リスク」を避けるチェック手順

記事や広告コピーを書くとき、以下の2軸で確認すると漏れが減ります。

軸1:効果・効能の表現か?(薬機法チェック)

  • 医薬品でないのに、治療・予防・身体機能への効果を示していないか
  • 化粧品・健康食品の認められた範囲を超えていないか

軸2:その表現に根拠があるか?(景表法チェック)

  • 数字・最上級・比較に、示せる根拠があるか
  • 価格表示に、実際の販売実態があるか
  • 体験談・アンケートの条件を明示できるか

「効果をうたっていないか」と「根拠があるか」を別々に確認することが、二重リスクを見逃さないコツです。

まとめ:1つの表現を2つの目で見る

薬機法と景表法は、規制の角度が違います。

  • 薬機法:医薬品的な効果をうたっていないか
  • 景表法:実態より良く見せていないか

健康・美容系の誇大表現は、この両方に同時に当てはまることがほとんどです。だからこそ、医療ライターは1つの表現を「効能の目」と「根拠の目」の両方でチェックする習慣を持つことが大切です。

両方の法律を理解しているライターは、クライアントにとって心強い存在になります。薬機法に強いライターが選ばれる理由もあわせてご覧ください。


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