医薬部外品の記事は、化粧品との違いを理解していないと表現を誤りやすいジャンルです。
「薬用」という言葉がついているから効果を書いていい——と思って書くと、承認された効能効果を超えてしまうことがあります。一方で、化粧品と同じ書き方をしていると、医薬部外品の特徴を正しく伝えられません。
この記事では、医薬部外品(薬用化粧品・日焼け止め・虫除け)の記事で問題になりやすい表現をNG・OK対比表にまとめ、提出前のチェックリストとして使えるようにしました。
医薬部外品と化粧品の違いをおさえておく
記事を書く前に、製品区分を確認することが最初のステップです。
| 医薬部外品 | 化粧品 | |
|---|---|---|
| 効能効果 | 承認された効能効果の範囲内で訴求可 | 厚労省定める56効能の範囲内のみ |
| 「薬用」表示 | 可(医薬部外品に限る) | 不可 |
| 例 | 薬用美白クリーム・日焼け止め・薬用歯磨き粉・制汗剤・虫除けスプレー | ファンデーション・乳液・口紅など |
医薬部外品は「承認された効能効果」の範囲内で広告できますが、その範囲を超えた表現は薬機法第66条(誇大広告の禁止)に抵触します。「治す」「消す」「根本から直す」のような断定表現が典型例です。化粧品より書ける範囲は広い一方、「医薬品的な効能の断定」は引き続きNGです。
→ 製品区分ごとの広告ルールの全体像は処方薬・OTC・医薬部外品・健康食品の違いで解説しています。
NG→OK言い換え対比表
薬用化粧品(美白・ニキビ・保湿)
薬用化粧品でよく使われる「美白」は、医薬部外品として承認された場合に使える表現です。ただし「シミが消える」「色素沈着が治る」などの疾患・症状への断定はNGです。
| NG表現 | OK言い換え |
|---|---|
| シミが消える | メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ(医薬部外品の承認効能に基づく) |
| 色素沈着を治す | 〔「治す」はNG。承認効能の範囲(防ぐ・抑える)で記載〕 |
| ニキビが治る | ニキビを防ぐ(医薬部外品の承認効能に基づく) |
| 肌の炎症を根本から治す | 肌あれを防ぐ・肌を整える(承認効能の範囲で記載) |
| シワが消える | 〔医薬部外品の承認効能にはない。化粧品の場合は「乾燥による小じわを目立たなくする」が56効能の範囲内〕 |
| 毛穴を完全になくす | 毛穴を目立たなくする・肌のキメを整える |
| アトピーに効く | 〔疾患名との結びつけはNG〕 |
日焼け止め(UVケア)
日焼け止めは医薬部外品が多いですが、化粧品の日焼け止めもあります。製品区分によって使える表現が変わります。
| NG表現 | OK言い換え |
|---|---|
| 紫外線を完全にブロック | 紫外線を防ぐ・SPF〇〇/PA〇〇〇〇 |
| 一日中日焼けしない | 〔「しない」の断定はNG。長時間使用する場合は塗り直しを促す表現に〕 |
| 日焼けしたシミが消える | 〔UVケア製品の効能の範囲外。美白製品と混同しない〕 |
| 肌老化を防ぐ | 〔「老化を防ぐ」は医薬品的表現。「肌を紫外線から守る」が適切〕 |
| 皮膚がんを予防する | 〔疾患予防の断定は医薬品的表現でNG〕 |
| SPFが高いほど肌に悪い | 〔根拠のない断定はNG。「肌に合った製品を選ぶことが大切」など〕 |
SPF・PA表示は事実の記載なので使えます。「SPF50+はSPF30の約50倍の効果」のような誤解を招く比較は避けます。SPFは「日焼け(紅斑)を起こすまでの時間を延ばす係数」であり、紫外線を防ぐ割合の単純な倍率ではありません。「SPF50+」の「+」は50以上という意味で、SPF30とSPF50+を「1.7倍効果が高い」のように比較する書き方は誤りになります。
虫除け(忌避剤)
虫除けスプレー(ディート・イカリジン配合)は医薬部外品です。「虫を殺す」「感染症を防ぐ」などの表現はNGです。
| NG表現 | OK言い換え |
|---|---|
| 蚊を殺す・駆除する | 〔殺虫ではなく忌避剤。「蚊などの害虫を忌避する」が正しい効能〕 |
| マラリア・デング熱を予防する | 〔感染症予防の断定はNG。「蚊の忌避に」「アウトドア時の虫除けに」〕 |
| 一度塗れば24時間効果が続く | 〔添付文書の持続時間に基づいて記載。断定はNG〕 |
| 赤ちゃんに安全 | 〔「安全」の断定はNG。小児・乳児の使用制限があるため、商品説明の使用上の注意を確認してください〕 |
| 全ての虫に効く | 〔承認効能の対象害虫の範囲で記載。「ダニ・ノミにも完全対応」などはNG〕 |
ディート(DEET)は6ヶ月未満の乳児は使用不可、小児は使用回数に制限があります。年齢制限を「使えない」と誤解させる表現も、「安全」と断定する表現も、どちらも誤りになるため注意が必要です。
制汗剤・薬用歯磨き粉など
制汗剤・薬用歯磨き粉・育毛剤なども医薬部外品として承認されているものがあります。
| NG表現 | OK言い換え |
|---|---|
| 汗を完全に止める | 汗を抑える・制汗効果(医薬部外品の承認効能に基づく) |
| 体臭の原因を根絶する | 体臭を防ぐ・ニオイを抑える |
| 歯周病を治す | 歯周炎を防ぐ・歯肉炎を防ぐ(承認効能の範囲で記載) |
| 虫歯を完全に予防する | 虫歯の発生・進行を予防する(承認効能に基づく表現) |
| 髪が生える | 「育毛を助ける」「脱毛を防ぐ」(医薬部外品の承認効能の範囲)。「発毛を促す」はミノキシジルなど医薬品のみ使える表現 |
| 薄毛が治る | 〔疾患の治療はNG。「脱毛を防ぐ・育毛を助ける」の範囲で記載〕 |
グレーゾーンの判断基準
「薬用」の表示は医薬部外品のみ
「薬用」という言葉は、医薬部外品としての承認を受けた製品にしか使えません。化粧品に「薬用」と表示することは薬機法違反です。
記事を書くとき、製品パッケージや販売ページに「薬用」と書いてあれば医薬部外品である可能性が高いです。ただし「自称薬用」のケースもゼロではないため、成分・承認番号での確認が望ましいです。
化粧品と医薬部外品の表現範囲の違い
化粧品に使える効能は厚労省が定める56項目に限定されています。医薬部外品は承認された効能をそのまま訴求できます。
混乱しやすいのが美白系です。
- 化粧品の美白表現:「肌をトーンアップする」「透明感を与える」など(シミそばかすへの効能は化粧品では書けない)
- 医薬部外品の美白表現:「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」(承認効能に基づく)
「シミに効く」と書いてしまうと、医薬部外品でも「治す・消す」という断定になりNGです。
→ 美白・美容まわりの表現の注意点は美容皮膚科の記事で気をつける薬機法表現でも解説しています。
体験談・口コミの扱い
「3ヶ月使ったらシミが薄くなった」のような体験談を記事に引用するとき、医薬部外品の承認効能の範囲を超えた効果の示唆になっていないか確認します。「個人の感想です。効果・効能を保証するものではありません」の注記をセットで入れることが基本です。
→ 体験談・口コミがどこまで書けるかは体験談・口コミ・お客様の声は書ける?で詳しく解説しています。
提出前チェックリスト
記事を納品する前に、以下の項目を確認してください。
製品区分の確認
- 医薬部外品・化粧品・一般食品のどれか確認した
- 「薬用」表示がある場合、医薬部外品として承認を受けているか確認した
- 医薬部外品の場合、承認された効能効果を確認した
NG表現のチェック(薬機法)
- 「治る」「消える」「根絶する」など承認効能を超えた断定表現がない
- 疾患名(アトピー・皮膚炎・感染症など)と製品を直接結びつけていない
- 化粧品に「薬用」の表現を使っていない
- 医薬部外品の効能を医薬品と同等のように誇張していない
区分ごとの個別確認
- 日焼け止め:SPF・PA表示の説明が正確で、「完全にブロック」「一日中効果」などの断定がない
- 虫除け:「殺虫」「感染症予防」の表現がなく、対象害虫・使用対象年齢の制限を正確に記載している
- 育毛剤:「発毛」「薄毛が治る」の表現がなく、承認効能(脱毛を防ぐ等)の範囲で記載している
全体の流れの確認
- 個別の表現はOKでも、記事全体で医薬品のような効果の印象を与えていない
- 体験談を引用している場合、「個人の感想です。効果・効能を保証するものではありません」の注記がある
- アフィリエイト記事の場合、PR表記が入っている
まとめ
医薬部外品・化粧品の記事で気をつけるポイントをまとめます。
- 医薬部外品は承認された効能効果の範囲内で訴求できるが、「治す・消す」の断定はNG
- 「薬用」は医薬部外品のみに使える表現。化粧品には使えない
- 化粧品は56効能の範囲内のみ。美白・ニキビ予防の表現は医薬部外品と化粧品で異なる
- 日焼け止めは「完全にブロック」「一日中効果」などの断定を避ける
- 虫除けは「殺虫」「感染症予防」ではなく「忌避」が正しい効能
- 育毛剤は「発毛・治療」ではなく「脱毛を防ぐ・育毛を助ける」の範囲で書く
健康食品・サプリの薬機法チェックは健康食品・サプリ編チェックシート、OTC医薬品の薬機法チェックはOTC医薬品・市販薬編チェックシートもあわせて活用してください。