「使ってみたらシミが消えました」「飲み始めてから体が軽くなった気がします」——医療・健康系のLPや商品ページでは、こうした体験談・口コミ・お客様の声が説得材料としてよく使われます。

実際の利用者の声は強い説得力を持ちますが、医療・健康分野では**「お客様の声だから自由に書ける」わけではありません**。体験談の中身しだいで、薬機法や景品表示法(景表法)に違反してしまうことがあります。

この記事では、体験談・口コミ・お客様の声をどこまで書いていいのかを、ライターの目線でやさしく整理します。

体験談・口コミ・お客様の声とは

ここでは、商品の利用者が「使った感想」を語る形の表現をまとめて体験談と呼びます。

  • 「使ってみたらシミが消えました」(お客様の声)
  • 「飲み始めて血圧が下がりました」(体験談)
  • 3ヶ月で−5kg!」(利用者の口コミ)

こうした「使った人のリアルな声」は、広告の中でとても強い訴求力を持ちます。だからこそ、医療・健康分野では広告として厳しく見られるのです。

ここで大事なのは、**お客様の声であっても、広告主が選んで載せれば「広告」**だという点です。「利用者が勝手に言ったこと」ではなく、載せた広告主(とその記事を書いたライター)の表現として責任が問われます。

結論:「何の商品か」で書ける範囲が変わる

体験談を書けるかどうかは、その商品が何に分類されるかで大きく変わります。

体験談が「書ける」「書けない」の境界線を示した図解。効能効果・安全性を保証する体験談(シミが消えた、血圧が下がった)は原則NG。使用感・香り・使い方の感想(さっぱりする、香りが好き)は事実の範囲で書ける。「個人の感想です」では救済されない

商品分類 効能効果の体験談
医薬品・医薬部外品・化粧品 原則書けない(効能効果・安全性の保証表現とみなされる)
健康食品(サプリなど食品) 医薬品的な効果の体験談は書けない(無承認医薬品とみなされるおそれ)

ポイントは、**「効果・効能を体験談で保証するのは原則NG」**という一点です。順番に見ていきます。

医薬品・医薬部外品・化粧品:効果の体験談は原則NG

医薬品・医薬部外品・化粧品の広告ルールを定めた医薬品等適正広告基準では、効能効果や安全性についての使用体験談、そして使用前後(ビフォーアフター)の写真は、原則として認められていません。

理由は、体験談やビフォーアフターが、効能効果・安全性を「保証」する表現になってしまうからです。「この人に効いた=あなたにも効く」と読み手に思わせてしまうため、実際の効果以上に良く見せることになります。

たとえば化粧品で、

  • 「使ったらシミが消えました」(効能効果の保証)
  • 使用前後の写真で肌の変化を見せる

といった表現は、原則NGと考えてください。ビフォーアフター写真を領域ごとにどこまで使えるかはビフォーアフターは使える?で詳しく整理しています。

例外:化粧品の「使用感・香り」は書ける(効果に踏み込まなければ)

ただし、化粧品にはわかりやすい例外があります。効果効能ではなく、使用感や香り、使い方についての感想であれば、事実に反しない限り書けます。

  • さっぱりした使い心地で気持ちいい」(使用感)
  • 香りが好きで毎日使いたくなる」(香り)
  • 伸びがよくて塗りやすい」(使い方・物理的な使用感)

「清涼感を与える」「爽快にする」といった使用感の表現は、事実であれば認められています。**境界線は「効果・効能に踏み込んでいるか」**です。「肌がうるおう」「シミが薄くなる」のように効果へ踏み込むとNG、「さっぱりする」「香りがいい」のように使い心地にとどまればOK、と整理すると分かりやすいです。

健康食品:医薬品的な効果の体験談はNG

サプリメントや健康食品などの食品は、そもそも医薬品的効能効果(病気が治る・体の働きが良くなるなど)をうたえません。これは体験談の形でも同じです。

  • 「飲んだら血圧が下がった
  • 「これで膝の痛みが消えた
  • 便秘が治りました

こうした体験談は、食品に医薬品のような効果があるかのように見せるため、無承認無許可医薬品とみなされるおそれがあります。「お客様の声だから」では免れません。

「個人の感想です」と書けば大丈夫、ではない

体験談の近くに小さく「※個人の感想です。効果には個人差があります」と添えるのをよく見かけます。これを書けば安全、と思われがちですが、そうではありません

消費者庁は、体験談を大きく目立つように見せている一方で、打消しの注釈を小さく添えただけでは、体験談から受ける「効果がある」という印象はほとんど打ち消されないという考え方を示しています。つまり、本体の表示が消費者に強い誤認を与えるなら、注釈があっても景表法違反(優良誤認)になり得ます。

「個人の感想です」は免罪符ではなく、そもそも効果を保証する体験談を載せないことが安全策です。

ステマにも注意

広告主が依頼して書いてもらった口コミやお客様の声を、広告だと分からない形で載せると、2023年から始まったステマ規制に抵触します。「第三者の自然な声」を装って実は広告、という形がNGです。依頼に基づく声を載せるなら、広告であることが分かるようにする必要があります。

ライターが巻き込まれないための確認ポイント

実務で体験談・口コミを扱うとき、気をつけたいことを整理します。

  1. 効果・効能を保証する体験談になっていないか:「治った」「消えた」「下がった」など、効果を断定する声は原則NG
  2. 商品分類を確認する:化粧品なら使用感はOK、食品なら医薬品的効果の体験談はNG、と分類で線引きする
  3. 「個人の感想です」に頼らない:注釈があっても本体がアウトなら違反。注釈は免罪符ではない
  4. 依頼した口コミは広告と分かる形に:第三者を装ったステマにしない

ポイントは、体験談は「実在の声を載せれば安全」ではなく、「その声が効果を保証していないか」が問われるということです。

まとめ

体験談・口コミ・お客様の声について、ライター目線でまとめます。

  • お客様の声でも、広告主が載せれば広告として責任を問われる
  • 医薬品・医薬部外品・化粧品では、効能効果・安全性の体験談やビフォーアフターは原則NG
  • ただし化粧品の使用感・香り・使い方の感想は、事実の範囲なら書ける
  • 健康食品で医薬品的な効果の体験談を書くと、無承認医薬品とみなされるおそれ
  • 個人の感想です」は免罪符にならない。効果を保証する体験談はそもそも載せない
  • 依頼した口コミを第三者の声に見せるとステマ規制に抵触

「このお客様の声、効果を保証していないか?」——この一言を意識するだけで、危ない体験談の多くは防げます。あわせて医薬品的効能効果とはも読むと、何が言えて何が言えないかの線引きがつかめます。


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