医療・健康系の記事を書くとき、「この商品はどのカテゴリに当たるんだろう」と迷ったことはありませんか。
処方薬なのか、市販薬なのか、医薬部外品なのか、健康食品なのか——分類が変わると、書いていい表現も変わります。薬機法ライティングでは、この「商品の分類」の理解が出発点です。
この記事では、薬機法に登場する主要な商品カテゴリの違いと、それぞれに適用される広告表現のルールを、薬剤師ライターの実務目線で整理します。
→ 薬機法そのものの基本は薬機法とは?医療ライターが最初に知っておきたい基本で解説しています。
商品分類の全体像
薬機法における商品分類は、以下のように整理できます。
| 分類 | 主な例 | 適用される規制 |
|---|---|---|
| 医療用医薬品(処方薬) | 降圧剤、抗がん剤、抗生物質 | 薬機法(一般向け広告原則禁止) |
| 要指導医薬品 | 発売直後のスイッチOTC | 薬機法 |
| 第1類医薬品 | ガスター10、リアップ | 薬機法 |
| 第2類・第3類医薬品 | 風邪薬、胃腸薬 | 薬機法 |
| 医薬部外品 | 薬用化粧品、薬用歯磨き粉 | 薬機法(効能表示の範囲が広い) |
| 機能性表示食品 | 届出済みサプリメント | 届出表現の範囲内+景表法 |
| 特定保健用食品(トクホ) | トクホ飲料など | 許可表現の範囲内+景表法 |
| 一般の健康食品・サプリ | ビタミンC、プロテイン | 景表法(薬機法上の効能標榜は禁止) |
医療用医薬品からOTC、医薬部外品へと移るにつれ、薬機法上の効能表示の範囲が広がります。機能性表示食品・トクホは薬機法上の「医薬品」ではなく食品区分ですが、届出・許可表現の範囲内という独自のルールがあります。一般健康食品は薬機法上の効能表示規制はないものの、景品表示法の規制を受けます。
医療用医薬品(処方薬)とは
医師や歯科医師が処方し、薬局で調剤される医薬品です。
特徴
- 医師の処方箋がないと入手できない
- 一般向けの広告は原則禁止(薬機法第68条)
- 対象は医師・歯科医師・薬剤師などの医療従事者のみ
ライティングへの影響
処方薬そのものを対象にした広告記事は書けません。医療情報提供として書く場合でも、「〇〇という薬が処方されることがある」「この成分は〇〇に適応がある」という事実に留め、推奨・断定・効果の保証は書けません。これは薬機法第68条(処方箋医薬品の一般向け広告禁止)+医療広告ガイドラインの両方から注意が必要です。
NG例
- 「〇〇(処方薬名)は高血圧に効果的です」
- 「この薬を使えば治る」
- 「〇〇がおすすめ」(推奨表現)
OTC医薬品(一般用医薬品)とは
薬局やドラッグストアで処方箋なしに購入できる医薬品です。「市販薬」とも呼ばれます。
分類の内訳
| 種類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 要指導医薬品 | 薬剤師からの対面指導が必要 | スイッチOTC発売直後など |
| 第1類医薬品 | 薬剤師からの情報提供が必要 | ガスター10、リアップ |
| 第2類医薬品 | 努力義務で情報提供 | 多くの風邪薬・胃腸薬 |
| 第3類医薬品 | 情報提供義務なし | ビタミン剤の一部 |
ライティングへの影響
OTC医薬品には承認された「効能効果」があります。承認された効能をそのまま書ける(「胃もたれに」「頭痛に」など)のがOTC医薬品の特徴ですが、添付文書を超えた言い換えや、承認範囲を超えた表現はNGです。
OK例(承認範囲内)
- 「胃痛・胸やけ・もたれ・むかつきに」(ガスター10の承認効能)
NG例(承認範囲を超える)
- 「ピロリ菌を除去する」
- 「胃がんを予防できる」
- 「医師に処方される成分と同じだから安心」(比較優良広告)
→ 要指導医薬品・スイッチOTCの広告ルールはスイッチOTC・要指導医薬品の薬機法で詳しく解説しています。
医薬部外品とは
「医薬品ほどではないが、一定の効果が認められたもの」として薬機法で定められた区分です。
代表的な例
- 薬用化粧品(美白・育毛・日焼け止めなど)
- 薬用歯磨き粉・薬用マウスウォッシュ
- 制汗剤(薬用デオドラント)
- ビタミン剤(医薬部外品として承認されたもの)
- 風邪薬・胃腸薬の一部(OTCより弱い製品)
医薬品との違い
| 項目 | 医薬品 | 医薬部外品 |
|---|---|---|
| 効能の表現 | 「治療」「治す」が使える | 「防ぐ」「助ける」「整える」程度まで |
| 審査 | 有効性・安全性の厳格な審査あり | 比較的緩やか |
| 広告 | 薬機法の広告規制あり | 薬機法の広告規制の対象(承認された効能の範囲内で、医薬品より広い効能表示が可能) |
OTCと医薬部外品の書ける表現の差(実務目線)
- OTC医薬品:承認された効能効果をそのまま書ける(「胃もたれに」「頭痛に」など)
- 医薬部外品:承認された効能は書けるが、基本は「防ぐ・助ける・整える」レベル(「ニキビを防ぐ」「シミ・そばかすを防ぐ」など)
ライティングへの影響
医薬部外品も薬機法の規制対象です。承認された効能の範囲を超えた表現はNGで、「治る」「治療する」という表現は使えません。
OK例
- 「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」(美白成分入り薬用化粧品)
- 「ニキビを防ぐ」
NG例
- 「ニキビを治す」(「治す」は医薬品の領域)
- 「シミが消える」(過度な効果の標榜)
機能性表示食品・トクホとは
「食品」に分類されますが、一定の条件のもとで健康に関する機能を表示できる制度です。
機能性表示食品
消費者庁への届出に基づき、科学的根拠を示したうえで機能を表示できる食品です。2015年にスタートした比較的新しい制度で、サプリメントの多くがこの区分を使っています。
表示できる範囲の例
- 「本品には〇〇が含まれます。〇〇は□□の機能があることが報告されています」
届出表現をそのまま使うことが原則で、独自の言い換えや強調はNGです。
特定保健用食品(トクホ)
消費者庁の審査・許可を受けた食品です。機能性表示食品より審査が厳しく、許可された表現しか使えません。
ライティングへの影響
機能性表示食品・トクホについては、届出・許可された表現の範囲内で書くことが鉄則です。勝手に言い換えると景品表示法・薬機法の両方に違反するリスクがあります。
NG例
- 「〇〇を飲めば血糖値が下がる」(効果の断定)
- 「糖尿病に効く」(疾病の治療・予防は薬機法違反)
- 「医師も認めた成分」(根拠のない権威付け)
一般の健康食品・サプリメントとは
法律上の定義がなく、「食品」として販売されているものの総称です。ビタミン剤・プロテイン・青汁・コラーゲンドリンクなどが該当します。
規制の実態
薬機法上の「効能効果」を標榜することは禁止されており、「治る」「効く」「病気に効果がある」といった表現は一切使えません。さらに景品表示法上の優良誤認・有利誤認のリスクも確認する必要があります。
- 優良誤認の例:「〇〇で痩せる」「病気に効く」「モニター全員に効果あり」
- 有利誤認の例:根拠のない「No.1」表示、比較に根拠のない表現
一般健康食品は、薬機法+景表法の両軸でチェックする必要があります。
ライティングへの影響
書けるのは、あくまで成分の説明・摂取の目安・食生活のサポートとしての紹介です。
OK例
- 「ビタミンCを手軽に補いたい方に」
- 「毎日の栄養補給に」
- 「〇〇mgのコラーゲンを配合」
NG例
- 「飲むだけで肌が若返る」
- 「膝の痛みが改善する」
- 「医薬品と同じ成分を配合」(医薬品的効能の暗示)
分類を間違えると何が起きるか
薬機法ライターにとって、商品分類の誤りは大きなリスクです。
たとえば、一般の健康食品を「まるで医薬品のように効く」と書いた場合、**薬機法違反(未承認医薬品の広告)**に該当します。クライアントへのペナルティだけでなく、記事を書いたライターも責任を問われる可能性があります。
また、医薬部外品を「治る」と書いた場合も、承認範囲を超えた効能の標榜として問題になります。
記事を書く前に「この商品は何に分類されるか」を確認する習慣をつけることが、薬機法ライターとしての基本姿勢です。
分類の確認方法(実務手順)
| 確認したい内容 | 確認方法 |
|---|---|
| 医薬品かどうか | パッケージ・製品サイトに「第〇類医薬品」「要指導医薬品」の表記があるか。PMDAで承認情報を確認 |
| 医薬部外品かどうか | パッケージに「医薬部外品」の表記があるか。製品サイト・添付文書で承認効能を確認 |
| 機能性表示食品かどうか | 消費者庁「機能性表示食品データベース」で届出番号・届出表示を確認 |
| トクホかどうか | 消費者庁「特定保健用食品許可品リスト」で確認 |
| 承認された効能効果 | 添付文書・インタビューフォーム(PMDAサイト) |
まとめ:記事を書く前の3ステップ
| 分類 | 書ける表現の範囲 |
|---|---|
| 処方薬 | 一般向け広告は原則禁止。情報提供でも推奨・断定はNG |
| OTC医薬品 | 承認された効能の範囲内のみ。添付文書を超える言い換えはNG |
| 医薬部外品 | 「治す」はNG。「防ぐ・助ける・整える」レベルまで |
| 機能性表示食品・トクホ | 届出・許可表現の範囲内。独自の言い換えはNG |
| 一般健康食品 | 薬機法上の効能効果標榜はNG。景表法上の優良誤認・有利誤認のリスクも確認 |
記事を書く前に、必ず以下の3点を確認してください。
- 商品分類を確認する(パッケージ・PMDA・消費者庁データベース)
- 対応する効能表現の範囲を確認する(添付文書・届出表示)
- 薬機法+景表法の両軸でチェックする
この3ステップが、薬剤師ライターとしての基本姿勢です。
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