医療・健康系の記事を書いていると、「その表現は誇大広告になりますよ」と指摘されることがあります。

ウソを書いたつもりはないのに、なぜダメなのか。そう戸惑う人も多いのではないでしょうか。

この記事では、誇大広告とは何かを、薬機法の条文をもとに、医療・健康記事を書くライターの目線でやさしく整理します。薬機法のなかでも、ライターがいちばん引っかかりやすいルールです。

誇大広告とは

誇大広告とは、ひとことで言うと、医薬品・医薬部外品・化粧品などの効能効果や安全性を、事実より大げさに表現することです。

これは「薬機法(旧・薬事法)」の第66条で禁止されています。条文の要点はこうです。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない(薬機法第66条1項・要約)

短い条文ですが、ライターが知っておくべきポイントがぎゅっと詰まっています。順に見ていきましょう。

「誇大」は、ウソだけではない

まず押さえたいのが、条文にある「虚偽又は誇大」という言葉です。

  • 虚偽=事実と違うこと(ウソ)
  • 誇大=事実であっても、大げさに見せること

つまり、ウソを書いていなくても、事実を大げさに盛って伝えれば誇大広告になり得るというのが、この66条のこわいところです。「ウソじゃないから大丈夫」という感覚は通用しません。

さらに、条文には「明示的であると暗示的であるとを問わず」とあります。はっきり書かなくても、それとなくにおわせる(暗示する)表現もNGという意味です。

たとえば、次のような表現が典型例です。

  • 「飲めば必ず治る」← 効果を断定している
  • 「副作用は一切ありません」← 安全性を保証している
  • 「私はこれで完治しました」← 体験談で効果を暗示している

どれも、事実かどうか以前に「大げさ」「におわせ」の時点で引っかかります。

誇大広告になりやすい表現パターン

ライターが実際につまずきやすいのは、次の3つのパターンです。言い換えの方向とあわせて整理します。

パターン NG例 言い換えの方向
効果を断定する 「必ず治る」「誰でも痩せる」 認められた効能の範囲で書き、個人差にも触れる
安全性を保証する 「副作用は一切なし」「絶対に安全」 起こりうるリスクもあわせて書く
最上級で大きく見せる 「世界最高の効果」「効果は業界No.1」 客観的な根拠がなければ使わない

具体的なNG表現と言い換えのパターンは、薬機法NG表現TOP10でさらに詳しく解説しています。あわせて、そもそも「その商品で効果を言えるのか」は商品分類で変わるので、医薬品的効能効果とはも読んでおくと判断がぶれにくくなります。

対象は「何人も」=ライターも責任を問われる

66条でもうひとつ大事なのが、主語が「何人(なんぴと)も」になっている点です。

規制の対象は、広告主(メーカーや販売者)だけではありません。記事を書いたライターやアフィリエイターも、規制の対象になり得ます。

違反した場合の罰則は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはその両方)と定められています。

さらに、2021年8月からは「課徴金制度」も始まりました。虚偽・誇大広告があった場合、対象商品の**売上額のおよそ4.5%**を国に納めるよう命じられることがあります。

課徴金は主に、売上のある広告主に向けられる仕組みです。ただしライターも「誇大広告には加担しない」という意識を持っておく必要があります。書いた記事が広告主の違反につながれば、取引先を危険にさらすことになるからです。

優良誤認(景表法)との違い

誇大広告と混同しやすいのが、景品表示法(景表法)の「優良誤認」です。名前も内容も似ていますが、別のルールです。

見るポイント 誇大広告(薬機法66条) 優良誤認(景表法)
対象 医薬品・医薬部外品・化粧品など 商品・サービス全般
規制する中身 効能効果・安全性の大げさな表現 品質を実際より良く見せる表示

やっかいなのは、ひとつの表現が両方に引っかかることがある点です。たとえばサプリの「飲むだけで確実に痩せる」は、薬機法(医薬品的な効果の暗示)でも景表法(品質の優良誤認)でも問題になり得ます。

この二重リスクについては、薬機法と景表法の両方を犯す典型例優良誤認とはで具体的に解説しています。

ライターが誇大広告を避けるチェック

記事を書き終えたら、次の4点を確認するだけで、多くの誇大広告は防げます。

  1. その効能効果は、その商品分類で認められた範囲におさまっているか
  2. 「必ず」「絶対」「一切」など、断定・保証の言葉を使っていないか
  3. 体験談や写真で、認められていない効果を暗示していないか
  4. 「最高」「No.1」などの最上級に、客観的な根拠があるか

迷ったときは、「事実かどうか」ではなく「大げさになっていないか」に立ち返るのがコツです。

まとめ

誇大広告とは何かを、ライター目線でまとめます。

  • 誇大広告=医薬品などの効能効果や安全性を、事実より大げさに見せること。薬機法第66条で禁止
  • ウソ(虚偽)だけでなく、事実でも大げさに盛る・暗示するとNG
  • 主語は「何人も」=ライター自身も責任を問われ得る(罰則・課徴金あり)
  • 優良誤認(景表法)とは別のルールで、両方に引っかかることもある
  • 迷ったら「認められた効能の範囲か」「大げさになっていないか」に立ち返る

薬機法の全体像がまだあいまいな場合は、先に薬機法とはを読んでから本記事に戻ると、66条の位置づけがすっきりつかめます。

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