薬機法のNG表現を調べていくと、必ず行き着くのが「医薬品的効能効果(いやくひんてきこうのうこうか)」という言葉です。
少し堅い言葉ですが、これは薬機法ライティングの一番の核心と言ってもいい考え方です。「なぜこの表現はダメなのか」をたどっていくと、ほとんどがここに戻ってきます。
この記事では、医薬品的効能効果とは何かを、医療・健康系の記事を書くライターの目線でやさしく整理します。これがわかると、個々のNG表現を丸暗記しなくても「自分で判断する」軸が手に入ります。
医薬品的効能効果とは
医薬品的効能効果とは、ひとことで言うと、医薬品でないものが、医薬品のような効果をうたうことです。
ここでいう「医薬品のような効果」とは、たとえば次のようなものです。
- 病気を治す・予防する(「便秘が治る」「風邪を予防する」)
- 体の組織や働きに作用する(「血圧を下げる」「免疫力を高める」)
サプリ・健康食品・化粧品・雑貨などは、医薬品として国の承認を受けていません。その承認を受けていないものが、まるで医薬品のように「効く」と表現すると、医薬品的効能効果をうたったことになり、薬機法に触れます。
つまり問題は「その効果がウソかどうか」ではなく、医薬品でないのに、医薬品のような効果を表示していること自体にあります。本当に効くかどうかとは別の次元の話だ、というのが最初のポイントです。
なぜ「効く」と書いてはいけないのか
「事実なら書いてもいいのでは?」と思うかもしれません。でも薬機法は、そもそも未承認のものを医薬品的に広告すること自体を禁止しています(薬機法第68条)。
医薬品は、効果と安全性を国が審査して、はじめて「効く」と表示することを認められた特別なものです。その審査を通っていないものが「効く」と名乗ってしまうと、
- 消費者が「薬と同じくらい効く」と誤解する
- 本来受けるべき治療を受けず、健康を損なう
といったリスクが生まれます。だからこそ、効果の有無にかかわらず、医薬品でないものが医薬品的効能効果をうたうことが規制されているのです。薬機法そのものの全体像は薬機法とは?医療ライターが最初に知っておきたい基本で解説しています。
医薬品的効能効果にあたる2つの代表パターン
「どこからが医薬品的なのか」は、厚生労働省の通知で考え方が示されています。ライターが押さえておきたいのは、大きく次の2つのパターンです。
①病気の治療・予防をうたう
もっともわかりやすいのがこれです。特定の病気や症状を、治す・予防すると表現するもの。
- 「高血圧が改善する」
- 「便秘が治る」
- 「インフルエンザを予防する」
- 「糖尿病に効く」
病名や具体的な症状名とセットで「治る」「効く」「予防」が出てきたら、まず医薬品的効能効果を疑います。
②体の組織・機能への作用をうたう
病名が出てこなくても、体の働きそのものに作用すると読める表現は医薬品的とみなされます。
- 「免疫力を高める」
- 「血液をサラサラにする」
- 「新陳代謝を活発にする」
- 「疲労回復」「滋養強壮」
一見すると健康的で前向きな言葉ですが、「体の機能を変える=医薬品の領域」と判断されます。健康食品でつい書いてしまいやすいのが、この②のパターンです。具体的なNG表現と言い換えは薬機法NG表現TOP10でまとめています。
言える範囲は「商品の分類」で変わる
ここで大事なのが、同じ表現でも、商品が何に分類されるかで「言える・言えない」が変わるということです。

| 分類 | 効能効果をうたえるか |
|---|---|
| 医薬品 | 承認された効能効果をうたえる(「効く」と言える) |
| 医薬部外品 | 承認された範囲の効能効果だけうたえる(例:薬用化粧品の「肌あれを防ぐ」など) |
| 化粧品 | 化粧品として認められた効能の範囲内だけうたえる(「肌にうるおいを与える」など、定められた56項目) |
| 食品(サプリ・健康食品) | 医薬品的効能効果はうたえない |
だから「便秘が治る」は、医薬品なら書けても、健康食品では書けません。まず「これは何の商品か」を確認するのが、医薬品的効能効果を見抜く出発点です。商品分類の考え方は処方薬・OTC・医薬部外品・健康食品の違いとは?で詳しく整理しています。
なお、食品でも**機能性表示食品・特定保健用食品(トクホ)**は、体の働きに関わる表示ができます。ただしこれは「医薬品的効能効果が言える」わけではなく、国の届出・許可という制度の範囲内で、認められた機能性だけを表示できるという例外です。一般のサプリや健康食品が自由に効果をうたえるわけではない点に注意します。
この線引きは、利用者の声でも同じです。「飲んだら血圧が下がった」のような体験談で効果をうたうのも医薬品的効能効果にあたります。詳しくは体験談・口コミは書ける?で整理しています。
ライターが迷ったときの考え方
実際に書いていると、「これは医薬品的かな?」と迷う表現に必ず出会います。そんなときは、次の順番で考えると判断しやすくなります。
- その商品は医薬品か? → 医薬品でなければ、医薬品的効能効果は原則うたえない
- 病名・症状名が出ていないか? → 出ていれば①のパターンに該当する可能性が高い
- 体の機能に作用すると読めないか? → 読めれば②のパターンで要注意
- 言い換えられないか? → 効果を断定せず、成分の一般的な説明や生活の様子に置き換える
たとえば「飲むと疲れが取れる」は②に近く危険ですが、「忙しい毎日のセルフケアとして取り入れやすい」「日々の健康習慣として選ばれている」のように、効果を断定せず生活提案に寄せた表現に置き換えれば、医薬品的効能効果を避けやすくなります。
優良誤認との関係
医薬品的効能効果は薬機法の話ですが、同じ表現が景品表示法の「優良誤認」にも引っかかることがあります。
たとえば健康食品の「飲むだけで痩せる」は、
- 食品が医薬品的な効果(痩身)をうたう点 → 薬機法(医薬品的効能効果)
- その効果に根拠がない点 → 景表法(優良誤認)
というように、1つの表現で2つの法律に同時に触れます。この「二重リスク」については薬機法と景品表示法の両方を犯す典型例で詳しく解説しています。
まとめ
医薬品的効能効果とは何か、ライター目線でまとめます。
- 医薬品的効能効果とは、医薬品でないものが、医薬品のような効果をうたうこと。効果の真偽とは別に、それ自体が薬機法で禁止されている
- 代表パターンは ①病気の治療・予防 ②体の組織・機能への作用。病名や「免疫力を高める」のような体への作用表現が要注意
- 言える範囲は商品の分類で変わる。まず「これは何の商品か」を確認するのが出発点
- 迷ったら「医薬品か→病名は→体の機能か→言い換えられるか」の順で判断する
「これは医薬品みたいな効果を言っていないか?」——この問いを持つだけで、薬機法NG表現の多くは自分で見抜けるようになります。あわせて薬機法とは?も読むと、全体像がつかめます。
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