「顧客満足度No.1」「医師の90%が推奨」——医療・健康系のLPや記事では、こうしたNo.1表示をよく目にします。
一見すると強い説得材料ですが、根拠のないNo.1表示は景品表示法(景表法)違反になり、実際に措置命令も相次いでいます。ライターが「クライアントから渡された数字だから」とそのまま書いてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれかねません。
この記事では、No.1表示とは何かを、ライターの目線でやさしく整理します。2024年に消費者庁が示した最新の考え方も踏まえて、「どこまでなら書いていいのか」をはっきりさせます。
No.1表示とは
No.1表示とは、ひとことで言うと、「一番である」とうたう表示のことです。
- 「売上No.1」
- 「顧客満足度No.1」
- 「医師の90%が推奨」
- 「利用者数地域No.1」
こうした「1位」「最高」「ナンバーワン」をうたう表現が当てはまります。広告で強い訴求力を持つ分、根拠がないまま使うと消費者を誤認させるため、景表法で厳しく見られています。
No.1表示そのものが禁止されているわけではありません。合理的な根拠(適正な調査)があれば使えます。問題になるのは「根拠がないのに一番だと言う」ケースです。
No.1表示には2つのタイプがある
No.1表示は、何を根拠にしているかで大きく2つに分けられます。この違いを知っておくと、注意すべきポイントが見えてきます。

| タイプ | 例 | 根拠になるもの |
|---|---|---|
| 客観的な数値による1位 | 「売上No.1」「販売数量No.1」 | 売上・出荷台数などの客観的データ |
| 主観的な評価による1位 | 「顧客満足度No.1」「おすすめしたい◯◯No.1」 | アンケートなど、人の感じ方の集計 |
とくに注意が必要なのは下の「主観的な評価」タイプです。「満足度」「おすすめ」といった人の感じ方は、調査のやり方しだいで結果をいくらでも操作できてしまうため、調査の中身が公正かどうかが厳しく問われます。医療・健康系のLPで多用されるのも、たいていこのタイプです。
消費者庁が示した「適正な調査」の考え方(2024年)
2024年9月、消費者庁は「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、No.1表示の根拠となる調査がどうあるべきかの考え方を整理しました。背景には、根拠の乏しいNo.1表示が多く見つかり、**令和5年度だけで13件の措置命令(うち11件は2024年2〜3月に集中)**が出されたという取り締まりの強化があります。
この報告書では、とくに「顧客満足度No.1」のような主観的評価のNo.1表示について、調査が合理的な根拠と認められるには、おおむね次の点を満たす必要があるとされています。
- 比較対象が適切に選ばれている:市場の主要な競合をきちんと含める(都合の悪い相手を外さない)
- 調査対象者が適切に選ばれている:無作為に選ぶ。自社の常連客や自社の社員だけに聞くのはNG
- 調査方法が公平:自社に有利な回答へ誘導しない
- 表示と調査結果が対応している:調査で分かった範囲を超えて「No.1」と言わない
とくに2番目は引っかかりやすいポイントです。「自社のファンや社員にアンケートを取れば、満足度は当然高く出る」——その数字を根拠に「満足度No.1」と書けば、実態とかけ離れた表示になってしまう、というわけです。
根拠のないNo.1は「優良誤認」になる
根拠のないNo.1表示は、主に景表法の優良誤認(品質を実際より良く見せる)にあたります。「顧客満足度No.1」「実感No.1」のように品質・効果の優位をうたうものは、この優良誤認が中心です。一方、「最安値No.1」のように価格・条件の優位をうたうケースは、有利誤認(価格・条件をお得に見せる)になることもあります。いずれも景表法違反です。
たとえば「効果満足度No.1」を、偏ったアンケートを根拠に、あるいは根拠なく書けば、商品の品質・効果を実際より良く見せたことになり、優良誤認です。消費者庁はこうした表示に対し、表示の差し止めや再発防止を求める措置命令を出すことができます。
医療・健康分野では、効果に関わるNo.1表示(「実感No.1」など)がとくに問題になりやすいところです。
ライターが巻き込まれないための確認ポイント
実務でNo.1表示を扱うとき、気をつけたいことを整理します。
- 「その数字の調査データはありますか?」と確認する:クライアントから「満足度No.1」を渡されたら、まず根拠となる調査の有無を聞く
- 誰に・どう聞いた調査かを確認する:自社の常連客や社員だけに聞いた調査は、根拠として弱い
- 表示と調査範囲がずれていないか見る:「特定地域・特定条件での1位」を、条件を隠して「No.1」と書くのは危険
- 根拠が確認できないNo.1は書かない/相談する:「たぶん大丈夫」で書かず、根拠を出せるか確認する
ポイントは、No.1表示は「数字を載せれば終わり」ではなく「その数字が公正な調査に基づくか」が問われるということです。実態のともなわない最上級表現は、そもそも書かない姿勢が、自分とクライアントの両方を守ります。
まとめ
No.1表示とは何か、ライター目線でまとめます。
- No.1表示とは、「一番である」とうたう表示。禁止ではないが、合理的な根拠(適正な調査)が必要
- 「売上No.1」など客観データ型と、「顧客満足度No.1」など主観評価型があり、後者はとくに調査の公正さが問われる
- 2024年に消費者庁が考え方を整理。自社の常連客・社員だけのアンケートなどは根拠として認められない
- 根拠のないNo.1は主に優良誤認(価格・条件型なら有利誤認)にあたり、措置命令の対象になる
- ライターは「その数字に公正な調査があるか?」を確認する。確認できないNo.1は書かない
「このNo.1、ちゃんとした調査の裏づけがあるか?」——この一言を意識するだけで、危険なNo.1表示の多くは防げます。あわせて優良誤認とはも読むと、景表法の全体像がつかめます。
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